【新華社長沙2月23日】中國の舊正月の伝統的な飾り「年畫」は、新しい年の象徴の一つと考えられてきた。だがそんな年畫を見かけることはどこでも少なくなり、年畫の誘う郷愁を味わう機會もまれとなっている。
湖南省郴(チン)州市蘇仙區許家洞鎮の株梓塘村ではこの春節、多くの村民の家で年畫が飾られた。69歳の農村畫家、胡久韶さんが美しい筆さばきで生き生きと描いた年畫は、同郷の人たちの記憶の奧深くにあるノスタルジーを呼び覚ましている。
胡さんのアトリエで真剣に絵を見比べていた何絲さんは、「年年有餘」「生龍活虎」「節節高昇」などがテーマの年畫5枚を選んだ。「胡さんの年畫の話はかねがね聞いていたが、実に美しくしかもリーズナブルで、明るい寓意に満ちている。家に飾れば年越しのムードが高まること間違いなしだ。ここまでやって來る価値は大いにあった」と何さんは言う。
胡さんの年畫の多くは、庶民に好まれている神話や伝説、草花や人物、魚、蟲、鳥、獣などが題材になっている。細かく生き生きとした描寫と鮮やかな色彩によって描かれた年畫は、風習にこめられた福にあずかりたいという人點の思いに重點が置かれ、郷土の香りに満ちている。胡さんの年畫はすでに、省內の衡陽市や広東省の韶関市など周辺の都市まで売られるようになり、広く喜ばれている。
「今年は戌(いぬ)年なので、犬を扱った年畫を特に描いている。數日前には、衡陽市から來た陳さんが、金色の犬を描いた年賀を選んでいった」。胡さんは、自分は商売ではなく趣味で年畫を描いているのだと話す。絵を気に入ってくれて、でも買うお金がないという人には、プレゼントする気持ちで渡しているのだという。
昨年、蘇仙區馬頭嶺中學の美術教師として招聘された胡さんは、精力の多くを學校教育上に注ぐことになり、販売用の年畫は例年よりもやや少なくなった。一年余りで描いた100枚近い年畫のうち20枚余りが売れ、20枚余りをプレゼントした。殘りの多くは教育用または自分で鑑賞するためのものだ。
1949年生まれの胡さんは農家で生まれ育ち、13歳で年畫の獨學を始めた。家は貧しく先生に教わるお金はなく、模倣と観察によって自らその才能を磨いていった。竹を上手に描くために、いつも自宅近くの竹林でしゃがみこんで竹の様子を観察し、模寫していたという。また虎を上手に描くために広東省の動物園まで虎を見に行ったこともある。數十年間こうして農作業の傍ら絵を描き続けているが、30歳を過ぎた頃には地元でちょっとした有名年畫家になっていた。
これまでに胡さんが描いた年畫の數は數え切れない。弟子も10人余りいる。二人の娘も父親の影響で絵畫の道に進んだ。次女の胡琴さんは、郴州市の中心部でギャラリーを開いており、父が描いた年畫がメインを陣取り、ギャラリーの名物になっている。
「年畫の価格は高くないかもしれないし、若い人もそれほど好きじゃないかもしれない。でも私はこの伝統技能を殘していくことにこそ最大の価値があると思っている」と語る胡さん。伝統的な年畫と現代アートを結びつけ、年畫を一般の人の生活にさらに浸透させようという計畫もある。より多くの人に年畫を知ってもらい、愛してもらうことが胡さんの望みだ。(記者/陳文広)
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