【新華社北京7月28日】「米國のけしかけた世界的な貿易摩擦がさらに激化すれば、日本経済に対する貿易のけん引作用は大きく弱まり、景気回復の歩みにもブレーキがかかって、日本経済が新たな『大不況』に陥る恐れもある」。中國社會科學院世界経済政治研究所の倪月菊研究員はこのほど、米國の一方的な保護貿易主義が日本に與える影響についての見解を語り、日本経済の見通しに懸念を示した。
倪氏は、米國のけしかけた貿易摩擦で日本の貿易が受ける打撃は主に、日本への追加関稅徴収という直接的な影響と、中米経済貿易摩擦の激化による間接的な影響の2つの形で表れると見る。
倪氏によると、米國の直接的な対日追加関稅措置は、すでに日本の対米輸出に影響している。米國の保護貿易主義への懸念から、日本の6月の対米輸出全體は前年同月比0・9%減と17カ月ぶりに減少し、鉄鋼輸出額はさらに急激に減少した。統計によると、米國が今年3月に始めた鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の追加関稅を課す政策の影響で、6月の日本の対米鉄鋼輸出額は前年同月比17・2%減少し、下げ幅は昨年7月以來の最大となった。輸出量は32・3%減で3カ月來最大の下げ幅。このほか、米國は國家安全保障を名目に自動車と自動車部品の輸入への調查を始め、自動車と自動車部品に20~25%の追加関稅を課すと脅している。日本の対米自動車輸出量は非常に大きく、2017年だけで170萬台に達する。もしも米國が追加関稅措置を発動すれば、日本の自動車メーカーがどれほどの打撃を受けるかは容易に想像がつく。
グローバル化の発展が進んだ今日、中米経済貿易関係はすでにグローバルなサプライチェーンの重要な一部をなしている。中國と米國の間の経済貿易摩擦は、両國の一部の輸出製品だけにかかわるもののように見えるが、実際には、両國の生産者と消費者の利益だけでなく、世界各國の産業界と消費者の利益も損ない、どの國も他人事ではいられなくなる。
倪氏によると、統計では、2017年の中國の対米輸出額4298億ドル(1ドル=約111円)のうち、外資企業による輸出は54・2%を佔めている。米國が追加関稅を課した340億ドル相當の中國の輸出品のうち、6割近くに當たる200億ドル以上の製品は、中國に拠點を置く多國籍企業が生産するものだ。現在、中國で操業する日係企業は2萬社を超え、追加関稅の対象となる製品の多くは日本企業が中國で生産したものだ。また中國に拠點を置く日係企業だけでなく、中國以外の國で展開する日係多國籍企業や、グローバルなサプライチェーンとバリューチェーンに組み込まれて生産する日本の一般企業も、深刻な影響を受けることになる。中國が米國に輸出する商品には、中國が他國から輸入した多くの中間製品が含まれているからだ。例えば日本國內で生産されるチップや電子部品などの高付加価値の中間製品も中國へ輸出され、中國製品の生産過程に組み込まれている。このため中國で追加関稅をかけられた対米輸出製品には日本や日係多國籍企業で生産された中間製品が多く含まれることになる。もし中米経済貿易摩擦が激化すれば、災いは確実にほかの國點にも及ぶ。
日本の貿易はこのように、米國による日本製品への追加関稅の直接的影響を受けるだけでなく、日本がグローバル化や世界的なサプライチェーンに深くかかわっているため、中米経済貿易摩擦からも深刻な影響を受けることになる。倪氏は、米國のけしかけた世界的な貿易摩擦は日本経済を新たな「大不況」に陥れる可能性があるとして警戒を呼びかけている。(記者/郭丹)
當社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無斷転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。
推薦記事
