
【新華社北京7月17日】トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は16日、フィンランドの首都ヘルシンキで首脳會談を行った。トランプ氏の米大統領就任後、米ロ首脳が公式會談を行ったのは今回が初めて。
両國がこれに先立ち発表した情報によると、會談は、両國関係、中東情勢、ウクライナ情勢、テロ対策など多くのテーマに及ぶ。アナリストは、1回の會談で両國の構造的な矛盾を解決することは難しいが、両國は象徴的な成果で外に向け緊張緩和のシグナルを発するとみられ、これは中東や歐州などの地域の地政學的構造に影響を殘すだろうと分析する。
▽米ロ関係:緊張緩和のシグナル発する
今回の會談は、準備段階から最終的な日程決定までの時間が比較的短く、米國世論は広く、トランプ氏が國內の保守派の圧力に耐えプーチン氏と會談するのは、主に外交上の突破口を求め、個人の外交能力を示し、11月の中間選挙に向け勢いを付けるためだとみている。 ロシアにとって言えば、正式な會談の実現はロ米関係を改善し、西側諸國による制裁から逃れる第一歩だ。米國戦略國際問題研究所(CSIS)の歐州アジア問題専門家であるヘザー・コンリー氏は、正式な會談が開かれることでプーチン氏がトランプ氏の「平等な対話者」とみなさせるだろうとの認識を示した。
米國とロシアには構造的な矛盾が存在し、両國には相互信頼が欠けており、両國間には多くの「解決しがたい問題」が存在している。専門家の分析によると、少なくとも米國國內から見れば、対ロ政策における深刻な対立という國內の政治の雰囲気が、依然として両國関係を巡る最大の障害になっていると指摘した。
また、両國には國際秩序の構築において根本的な不一致が存在している。ロシア高等経済學院歐州國際問題研究センターのスースロフ副主任は、現在、ロシアと米國はシステム上の対立関係にあり、米國は世界の覇権的地位を放棄する気はなく、ロシアは多極化した世界秩序の構築を主張し、この根本的な不一致が、両國のシリア問題やウクライナ問題での矛盾と対立を引き起こしているとの認識を示した。
一方で、両國の対立を背景に、今回の米ロ首脳會談は非常に強い象徴的意義を持ち、両國の関係改善のシグナルを出している。クレムリンの外交政策顧問であるセルゲイ・カラガノフ氏は、會談では、既存の戦略兵器に関する協定の延期または改正を含む一定の成果が得られ、両國関係は新たなプロセスに進むだろうと述べた。
▽中東問題:相互協力を強化
中東情勢、特にイランとシリア問題は、トランプ氏とプーチン氏の會談における一つの重點だ。専門家は、両國は中東問題においてそれぞれの需要と立場で対立があっても、會談で一定の成果を上げる望みがあり、中東地域の地政學的構造に新たな変化をもたらすかもしれないと分析する。
米國大西洋協議會のスティーブン・セスタノビッチ研究員は、シリア戦爭が新たな段階に入るに伴い、トランプ氏はシリアに駐留する米軍の規模をできるだけ減らし、イランのシリア問題での役割を制限したいと考え、さらにイランとイスラエルが衝突する可能性を引き下げたいと考えているとの認識を示した。
カイロ大學のNourhan al-Sheikh政治學部教授によると、ロシアは米國に対しシリアの一部過激派組織に対する支援を減らすと打ち出す可能性があるという。米ロ首脳は會談で何かしらの共通認識に達する可能性があり、ロシアはシリアのイラン軍削減と引き換えに、米國のイランに対する制裁を緩和させるかもしれないと予測する。
スースロフ氏も、シリアとイラン問題は密接につながり、互いに制約しているとの認識を示した。トランプ氏がシリアのアサド政権の合法性を認め、アサド氏の統治を覆す努力を放棄し、さらにロシアが推進するシリア問題の政治的解決を支持する可能性があるとし、ロシアは見返りとして、シリアのイラン軍削減に同意する可能性があると語った。
▽歐州視點:「道具」化を懸念
歐州のロシアに対する心理は複雑で、エネルギーでロシアと協力する必要がある一方、警戒心も存在する。ウクライナ危機の発生後、歐州連合(EU)は自身の経済利益を損なうことを惜しまず、米國とともにロシアに対し厳しい制裁を科した。しかし、トランプ氏が大統領に就任して以降、ロシアとの関係改善のシグナルをしばしば発し、EUは警戒心を抱いた。
今回の米ロ首脳會談を前に、トランプ氏はベルギーの首都ブリュッセルで行われた北大西洋條約機構(NATO)首脳會議に出席し、軍事費問題で歐州諸國を再度批判した。トランプ氏はメディアの取材を受けた際、プーチン氏が求めれば、彼はバルト海諸國で行われるNATO加盟國を中心とした軍事演習を取りやめる可能性を排除しないと述べた。
トランプ氏のこの発言は歐州諸國の不安を一層高めた。一部の歐州諸國はトランプ氏が歐州の利益を顧みず、プーチン氏と何かしらの「取引」を行うかもしれず、NATO內部の団結を破壊し、NATOの歐州の安全保障における価値を弱めることになると心配している。 ブリュッセルのシンクタンク「カーネギー・ヨーロッパ」のTomas Valasek主任は、一部の歐州諸國はすでに、米國が駐留軍の削減など歐州での軍備配置を削減することを心配し始めており、これにより、歐州諸國が引き続き東歐地域で軍事演習を行い、情勢をより緊迫させる可能性があると述べた。
また、歐州各國のロシアとの関係における立場と歩調が一致しているわけではないことから、米ロ関係の新たな変化が歐州內部に新たな食い違いを生み出すかもしれない。
ベルギーのアントウェルペン大學のDavid Criekemans副教授は、歐州東部の一部の國は歴史的な要因からロシアに対して強い警戒心を持っており、別の一部の國は歐州自體の安全保障體制の構築を主張し、また別の歐州國家はモスクワとの対話を新たにスタートさせるよう努力、ロシアを重要な潛在的経済パートナーとみなしていると指摘。歐州はワシントンとモスクワの間で「パワーポリティクスのバランス」を探る必要があり、歐州が直面する大きな試練は、その內部に十分な団結力があるか否かだと語った。
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