世界市場が英國のEU離脫問題を織り込み始めた矢先に、フランス ニースのトラック突入テロとトルコのクーデターが相次ぎ、市場に一撃を與えた。日米などの経済見通しも不透明で、世界市場のリスク回避ムードが上昇するなか、中國の上半期の経済統計は安定成長を示し、世界にとっての「精神安定剤」となっている。
先週初めは世界の主要株式市場が上昇する一方で、安全資産とされる金や日本円などが下落、世界市場では英國のEU離脫ショックが和らぎ始めた。12日は世界の株式市場が総じて上昇。金など安全資産の相場は下落し、日本円の対米ドル相場は円安ドル高が加速した。
しかしこの狀況は一変する。14日は、南仏ニースで花火客の列に大型トラックが突入し、84人が死亡した。15日はトルコでクーデター未遂事件が発生したが、政府は反亂鎮圧を宣言した。これら一連の事件で市場のリスク回避ムードが再燃し、國際金価格は1オンス1337.9米ドルまで上昇する場面があった。米ドル対トルコリラ相場の上昇率も3.5%超まで拡大し、他の新興國通貨も連れ安した。
このほか、市場の先進國経済に対する今後の見通しも弱含みとなりつつある。IMFは12日のリポートで、英國のEU離脫に伴う不透明感により米國経済は下押しリスクに直面する可能性があると指摘した。それが現実となれば、米連邦準備理事會(FRB)は利上げを先送りする必要がある。アナリストは、労働生産性の伸び鈍化、労働參加率の低下、貧富の差の拡大などが依然として解消されないため、米國経済は安定成長の原動力に欠けると分析する。日本政府は13日、1.7%と見込んでいた2016年度の経済成長率見通しを0.9%に下方修正した。消費再増稅の延期で駆け込み需要が発生しなくなったことなどを引き下げの理由として挙げた。個人消費と企業の設備投資の伸びも見込めず、日本経済は成長原動力が乏しくなっている。
一方で、中國経済は全く異なる狀況だ。中國國家統計局の15日の発表によると、中國の16年上半期の経済成長率は6.7%と年初に設定した目標通りだ。アナリストは、世界経済が低迷し、貿易成長は力強さに欠けると指摘。そのようななか、國內で累積した矛盾が顕在化し、安定成長が難しい情況となっているにもかかわらず、中國経済は良好に推移していると分析する。世界的なリスクが強まり、市場のセンチメントが弱気に傾くなか、中國の上半期の経済成長は世界経済を力強く下支えしている。その一方で、米國経済は西側メディアが持ち上げるほど好調でもなく、その対比は鮮明となっている。
(チャイナネット)
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