習近平主席は訪米を西海岸のシアトルから開始した。シアトルはなぜ、最初の訪問地に選ばれたのだろうか。
よく知られているように、シアトルには、マイクロソフトやスターバックス、アマゾンなどの世界的な企業の本社があり、ボーイングの組み立て工場なども設けられている。中國はこれらの米國企業の重要な市場であるため、シアトルは、米國の対中貿易の要地であり、対中輸出は、同市とその位置するワシントン州の経済成長の中心的な動力となっている。この工業・商業都市は、中國経済の成長という追い風を受け、経済分野における強者協力のモデルとなり、中國と米國という世界最大の経済體による協力の縮図ともなっている。
習近平主席がシアトルを訪れ、工業・商業界の経営幹部や科學技術界のエリートと會見するのは、両國の産業や科學技術などの分野に着眼したもので、革新を先導してボトルネックとなっている課題を打破しようとするものである。この行動は、中國経済の転換とアップグレードの原動力を求めるものであるだけでなく、中國と米國の経済や貿易、科學技術の協力の深化に青寫真とビジョンを描き出し、両國経済の「新型関係」の構築を後押しするためのものでもある。両國の経済協力は今後、さらに高いレベルへと引き上げられ、中國は米國に巨大なビジネスチャンスを提供し、中米の雙方向の直接投資の規模は一層拡大していくものと見られる。
15年前の2000年、中國の世界貿易機関(WTO)加盟の1年前を振り返れば、米國の外國人直接投資総額のうち中國の投資はほぼゼロだった。だがその後、中國の対米投資は着実に積み上げられ、投資殘高はすでに652億ドルに達し、米國は、中國香港とオーストラリアに次ぐ中國第3の対外投資先となった。
中國のWTO加盟から14年が経った現在、中國は、経済発展方式の転換や経済構造の調整、成長効率の向上、発展の持続力の増強に取り組み、発展の重心をハイテクやサービス業、クリーンエネルギー、環境保護に置くようになっている。この角度から見ても、中米両國の協力や相互利益、ウィンウィンには広大な可能性があると言える。
世界トップ500社にランクインする中國企業はますます増えている。これが示しているのは、世界の財産が西から東へ移転しているという傾向だけではない。中國の発展は、米國の老舗企業に豊かな利潤とリターンをもたらし、新興企業もこれをチャンスといっせいに動いている。両國の企業界はここ最近、実質的な大型協力でさらに3件の成果を得た。米國西部での高速鉄道の共同建設、アフリカのクリーンエネルギーの共同開発、建築省エネ基金の共同設立である。さらに米國のデル・コンピュータ社も中國のサイエンス企業數社との緊密な協力を開始している。
習主席はしばらく前、ライス米大統領補佐官(國家安全保障問題擔當)に會見した際、中米両國は二國間投資協定(BIT)の交渉を促進すべきだと語った。経済界では、協定がもしも実施されれば、雙方の受ける利益は小さくなく、より大きな投資潛在力が雙方向に発揮され、米國の製造業の発展と中國の経済構造の調整を促進するとの前向きな見方が出ている。これは雙方にとっての現実的な利益であり、中米関係を全體として一層強化するものとなる。
シアトルと北京との出會いは偶然ではない。中米関係の全方向的な発展と世界の経済貿易局面の変化という2つの要素によって生まれた必然である。習主席のシアトル訪問は中米両國の國民にどんなサプライズをもたらしてくれることになるのだろうか。(文:陸忠偉。中國現代國際関係研究院元院長)
(チャイナネット)
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