2016年以降、中國と日本の関係は全體として改善傾向を維持し、雙方の各レベルの接觸や対話や交流もより密接になり、実務的な協力が緩やかに推進され、両國の國民感情にも回復の兆しがみえている。これと同時にしっかりと目を向けなければならないのは、目下の中日関係改善の動きはやや脆弱であり、引き続き複雑で敏感な要因に直面しており、両國関係は今、坂を上り関門を乗り越えようとする重要な段階にさしかかっているということだ。2017年は中日國交正常化45周年にあたり、18年は「中日平和友好條約」締結40周年だ。中日はお互いに重要な隣國であり、経済協力は両國関係の重要な安定裝置になる。両國経済は異なる発展段階にあり、中日企業の間には強い相互補完性があり、未來の協力の潛在力はとてつもなく大きい。「汽車人伝媒」が伝えた。
▽國民生活改善と質の高い消費というチャンスをしっかりつかまえる サービス貿易分野での協力を展開する
2020年には、中國は中所得層が4億人から5億人に達すると同時に、高齢化社會に足を踏み入れることが予想される。中國では「1組の夫婦が2人まで子どもを産み育ててよい」とする「二人っ子政策」をすでに実施している。試算では、50年までに20~60歳の労働力人口は3千萬増加する。このことは人口ボーナスの予備軍になるだけでなく、現実的な消費の成長源でもある。
國民の消費は生きるための消費から、生活を改善し個性を発揮するための質の高い消費へと転換しつつある。財政金融、健康、教育研修、文化娯楽、観光、物流、介護などの多様なサービス消費が需要の新たなホットポイントだ。
消費の新たな成長源に関して次の4つのことが指摘される。
(1)第13次五カ年計畫の観光に関する計畫によると、20年をめどに中國観光市場の全體的規模はのべ67億人に達し、海外への観光客はのべ6億人に上る見込みだ。15年には日本を訪れた観光客が500萬人に達し、16年は再び記録を更新してのべ637萬人に達し、日本の多くの人點は中國人の購買力に舌を巻いた。
(2)中日両國はともに人口高齢化という課題に向き合っている。中國は目下、人口高齢化が急速に進行する段階にあり、16年末現在、60歳以上の人口は2億3千萬人に達し、総人口の16.7%を佔めた(65歳以上は1億3千萬人で総人口の9.4%)。中國は世界で唯一、高齢人口が1億人を超えた國であり、関連市場のニーズと協力の潛在力は極めて大きい。日本は高齢者への介護サービスと醫療保険技術 設備などで世界トップレベルにあり、両國の介護産業での協力は今、発展を遂げつつある。
(3)金融協力の面では、債券市場を育成し、國債を相互に買い増しするなどの措置が金融市場の安定と貯蓄資産の安全性の向上にプラスになり、巨額の外貨準備を保有する中日両國に積極的な意義をもつ。早く実施すれば、それだけ早く利益を得られることになる。
(4)クラウドコンピューティング、モノのインターネット(IoT)、デジタル設計、遠隔制禦、市場での営業販売といったサービス貿易分野での協力を強化することで、中日経済貿易協力の中身がさらに充実し、相互利益に基づく協力の水準がさらに向上することになる。
▽新型都市化のチャンスをしっかりつかまえる 新興産業と地方との協力を強化する
これから10~20年の間に、中國の都市化率は70%に達し、毎年1千萬人以上が都市に流入するとみられる。中國都市部の一人あたり平均インフラ社會資本ストックは先進國の3分の1に満たず、今後5年で大幅に向上することが確実視される。中國は目下、地下パイプライン網、社會保障対策としての公共住宅、スマート都市、無害化処理施設、防災減災、都市総合交通ネットワークなどの建設作業を進めており、これと同時に広大な農村部でも公共サービス施設を建設している。これらの分野には兆単位の投資ニーズが潛む。
日本はすでに都市化プロセスを完了し、省エネ・環境保護、インフラ、防災減災、市政の管理、都市の持続可能な発展といった分野で豊富な経験と技術を積み上げており、中日雙方の協力には極めて大きな潛在力がある。第13次五カ年計畫期間中、中國は西部大開発、東北地域の振興、中部の勃興発展、東部が率先して進める地域発展の総合戦略を深いレベルで実施しており、北京・天津・河北の共同発展、長江ベルト地域と「自由貿易區」の戦略、「一帯一路」(the belt and road)イニシアティブという3大戦略を引き続き実施している。中日雙方はこうした分野での協力を強化し、企業の長期的な経営目標および両國経済社會の発展を達成しなければならない。
今後まず中國での研究開発投資を拡大する。これまでもたくさんの日本企業が中國の発展がもたらした市場チャンスをつかまえ、研究開発協力を強化し、産業の革新力を向上させてきた。次に海外の投資家が中國の中西部および東北舊工業基地に投資し、先端製造業と戦略的産業に投資するよう奨勵する。さらに友好都市間の交流と協力を展開する。現在、中日間で友好提攜を結んだ県・都市は250組に上り、一連の都市が経済協力パートナーシップの構築を模索しており、16年12月には福建省と沖縄県が東京で経済貿易協力覚書に調印した。17年も引き続き中日間の地方レベルの経済パートナーシップの構築を奨勵し支援し、協力モデル區の設立を模索し、両國の経済貿易協力が実務的で深いレベルに向かうよう後押しする必要がある。
▽引き続きグリーン農業と物流の協力を推進する 內需拡大と國民生活改善の問題を解決する
中國は目下、新しいタイプの工業化、情報化、都市カ、農業の現代化がバランスをとりながら発展する新たな局面を形成しつつある。第13次五カ年計畫期間に、中國は農村の改革発展の推進に力を入れ、中日両國は農業への投資、動植物の検疫、貿易などの分野での協力で広大な可能性を有する。中國企業は日本を含む海外の企業とさまざまな形式で多國籍経営、生物の育種、スマート農業、生態環境保護、観光農業、農業機械設備、農産品加工、農産品貯蔵輸送、農産品貿易をめぐり協力を展開したい考えだ。これまで住友化學、伊藤忠、三菱商事、三井物産、丸紅、住友商事などの日本企業が中國での農業や物流をめぐる協力に積極的に関わってきた。たとえば住友化學は遼寧省大連市の大連金州國家農業科學技術パークでエコ農業協力プロジェクトを展開する。中日韓自由貿易圏の交渉プロセスが加速すると、雙方の農業発展への競爭力強化にチャンスが到來すると同時に、中日の穀物貿易や農産品貿易が促進されるとみられる。
中日両國はいずれも內需拡大と國民生活改善という重要な課題に直面し、有機農業やグリーン農業の発展、農産品の流通システム構築の強化がこの目標を達成するための重要な措置になる。具體的には3つの取り組みが考えられ、1つ目は農業分野での標準化、ブランド化、全産業のチェーン化に基づくプロジェクト協力の展開を模索することだ。2つ目はコミュニケーションと相互の學び合いを強化し、域內の流通物流システムの合理的で秩序ある構築を促進すること。3つ目は食品の安全保障分野での情報のやりとりと協力を強化し、インターネットと農業、小売産業、宅配産業、ホテル外食産業などとの協力を強化し、両國の農業・物流協力が次のステップに進むよう推進することだ。(文:呂克倹 雑誌「汽車人」論説委員、全國日本経済學會副會長、元在日本中國大使館公使、元商務部<商務省>アジア司司長)
(人民網日本語版)
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