新華網ワシントン5月24日(新華社記者/高攀、鄭啓航)米國の鉄鋼産業が経営難に陥り、及びに米國の政治屋や有権者の保護貿易主義の論調が高まるに伴い、米政府はますます貿易救済措置に訴えることで 米國の鉄鋼業に対する輸入の衝撃を軽減させようと企んでいる。しかし米國の貿易専門家は、これは米國の鉄鋼業の問題を根本的に解決できないばかりか、逆に國內の鉄鋼製品の価格をつり上げ、米國の製造業拡大のコストを増やし、最終的には米國全體の経済利益を損ねるものと警告している。
米國國際貿易委員會(ITC)は20日、中國、日本、韓國、フランスなどの10余りの國と地域が輸入するカーボンスチール(carbon steel)と合金鋼のプレート(Alloy Steel Plates)に対し、米國の國內産業に実質的な被害を與えるとの仮裁定を行い、米商務部にこの種の製品への「反ダンピング・反補助金」調查を引き続き展開するよう求めた。英『ファイナンシャル・タイムズ』紙は22日、米國はすでに世界で「反ダンピング・反補助金」調查を最も多く発動した國となり、しかも中國とその鉄鋼産業が米國による「反ダンピング・反補助金」調查の最大の目標國となったと報じている。
アナリストは、次のように指摘する。米國の鉄鋼業における保護貿易主義が靜かに高まっているのは、ちょうど米國の鉄鋼企業が経営難に陥り、公衆が國際貿易に懐疑的な態度を持ち、オバマ政権が環太平洋経済連攜協定(TPP)の議會承認や支持を求めるのが困難な折にあたる。輸入を制限する保護貿易主義的措置を講じることは、米國國內の鉄鋼製品の価格を押し上げ、一部の労働組合などの有権者層の支持を勝ち取ることができるかもしれないが、市場のニーズを真に改善し、深刻な苦境に陥った鉄鋼企業に手を差し伸べることはできないだろう。
中國商務部貿易救済調查局の擔當者も、次のようにみなしている。海外の鉄鋼製品に貿易救済措置を講じることは、米鉄鋼企業が直面する問題の根本的な解決には役に立たず、過度な保護貿易こそが米鉄鋼産業に経営赤字などの問題をもたらした根本的な原因だ。米國が國內の鉄鋼産業に30餘年にわたって保護や補助金交付行為を継続してきたことにより、米國內の鉄鋼市場競爭が歪められ、鋼鉄企業に投資拡大と製造工程改善のための原動力を失わせ、製品の競爭力の絶え間ない低下をもたらした。
米國工業用ファスナー工業協會(IFI)のロブ・ハリス(Rob Harris)會長は、米政府が各種の鉄鋼製品に広範な貿易救済措置を実行したことは、ごく一部の鉄鋼メーカーに一時的に一息入れさせるチャンスを與えたかもしれないが、逆に米國の鉄鋼消費業界に予想外のマイナスの結果をもたらす可能性があると指摘する。
米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は先日社説も発表し、中國から輸入された鉄鋼製品の課稅を上げることが米國內の鉄鋼価格を押し上げ、米國の製造業のコストを海外の競爭相手より高めさせ、これらの米國の企業が市場を拡張し、米國のためにより多くの雇用を創出する能力を低下させるだろうと伝えている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙はまた、オバマ政権が鉄鋼企業の訴えに同調し、貿易保護主義的な感情をいっそう高めることは、更に多くの反貿易制裁措置を招く恐れがあると警告して伝えている。
(新華社より)
関連記事:
