外國人はしばしば、中國人の掛け算暗記法「九九」がすごいと言う。外國で買い物したとき、切りのいいお釣りにするために小銭を出すと、よく店員から意味不明だという顔をされる。留學した同級生はしばしば、外國の數學の授業はとても簡単だと言う……。
イギリスで上海の數學教科書が導入されたというニュースが話題になっている。
イギリスはこの秋から、「本場の上海の數學」の教科書と指導書、補習用サブテキストを導入する。來年1月から正式に、一部の小學校で使用される。
これら教材は、上海の數學教材をほぼ一字一句英語に翻訳したものである。出版先であるコリンズ學習出版社のコリン シューズ社長は、「イギリスの基準に比べ、中國の教科書は明らかに難しい」と話す。
數學ができないためにイギリスは毎年200億ポンドを損失?
この數年、イギリスの學生は學習到達度調查(PISA)の成績が芳しくない。「教育界のワールドカップ」と呼ばれるこのテストは、世界各國の15歳の學力を評価するものである。2016年のイギリス學生の數學の成績は、國際ランキングで27位だった。イギリスが參加を始めた2000年以降で最低の水準である。
イギリスでは、「數學ができない」がますます日常的な言葉になっており、國家経済を揺るがしかねないとの懸念さえ生まれている。たとえばイギリス國家數學能力センターはかつて、「イギリスの成人のひどい數學レベルによって、イギリスは毎年200億ポンドを損失している」という統計分析を発表している。
そんな中、上海の學生がPISAテストで何度も上位にランクインしていることから、イギリス教育省が上海の教材に目を留めることとなった。
イギリス教育省は2016年7月、今後4年間で4100萬ポンドを投じ、8000か所の小學校に対し、練習を徹底させることを旨とする數學教學モデルを展開すると発表した。その中には上海の數學教材の採用も含まれていた。
見習うべきは教材だけではない?
イギリス學生の數學がダメな原因は教材だけではないとの聲もイギリスでは少なくない。
第一に、教師の指導力に大きな原因がある。イギリスの多くの小學校では、1人の教師が多數の教科を教えており、専門性が相対的に低い。授業の後も、授業の準備や反省をするための十分な時間を持たない。
また、教室での教學モデルも學生の成績と大きな関係がある。イギリスの教室では長年、ディベートや自主學習を重視してきた。學生たちの創造力を高めると考えられてきたからだ。しかし近年になって教育の専門家も、このモデルで本當に學生が競爭力のある數學を學べるのかを再検討するようになった。
BBCは2015年、「我點の子どもはしっかりしているのか」と題するドキュメンタリーを放送した。そこでは中國の教師5名が、イギリスの中學で4週間の試験教學を行っている。
放送を見たネットユーザーが書き込んだコメントは以下のようなものである。
「このドキュメンタリーを見ると、我點の教育システムに全く希望がないと思える」。
「中國に住んだことがある。中國の教育システムの下で3年間仕事をしたが、実際に中國人は數學や理科、さらに外國語まで我點を上回っていた」。
中國の數學クラスは教師による講義を主とし、學生には練習や復習を要求する。中國の教師は學生を指さし、答えと解釈を説明させる。このやり方は長年、自主性や創造性をなくすものだと考えられてきたが、このほうが學問を深く理解する學生が多く、しかもうまく運用することができる。
イギリス各界は今でも、中國の教學に対して従來型のイメージに凝り固まっている。たとえば中國の教育は単調な詰込みばかりだとか、個性的な思考に欠けるなどだ。しかしイギリス優良教育センターのチャールズ トリップ氏は、中國の數學教學方法は正しいと言う。「中國の數學教育方法は詰込みではない。むしろ概念の深い理解を重視している。學生たちは掛け算九九を覚える必要があるが、これは數學の基礎をうまく學ぶ方法なのだ」。
(チャイナネット)
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