11日、民宿やレストランが軒を連ねる南溝村。(ドローンから、長春=新華社記者/司暁帥)
【新華社長春12月18日】中國吉林省吉林市の北大湖スキーリゾートから車で10分足らずの同市永吉県北大湖鎮南溝村は、かつて伝統的な農業に頼る小村だったが、今では氷雪経済の発展で新たな活気を放つようになった。雪と氷はもはや農民を苦しめるものではなく、農村振興の新たな原動力に変わった。
同村の住民、王雪(おう・せつ)さん(36)はスキー場で観光客にバランスの取り方とターンの仕方を教えていた。王さんは農家からスキーインストラクターに転身した村民の一人だ。
日が暮れると村は一段と活気づく。一日スポーツを楽しんだスキーヤーたちは、三點五點民宿に入り、鉄鍋や炭火焼などの郷土料理を味わい、農村の暮らしを堪能する。
11日、南溝村にオープンしたスキー用品レンタル店を利用するスキー客。(長春=新華社記者/司暁帥)
北大湖スキー場の急速な発展が、村の変化を後押しした。同スキー場は1993年、第8回全國冬季スポーツ大會の雪上競技會場として建設された。當初は主にプロのアスリートが利用していたが、施設が充実し、観光が盛んになるにつれて、徐點に一般のスキー客が好んで訪れるようになった。
観光客の到來は、周辺の村に転換のチャンスをもたらした。村民の張兆勝(ちょう・ちょうしょう)さんの記憶では、スキー場のオープン當初、村の人點はまだスキーがもたらす可能性をあまり理解していなかったという。
政府の指導を受け、張さんは2010年、自宅で使っていなかった土炕(オンドル)二つを客室に改裝し、スキー客向けの宿泊サービスを始めた。現在、張さんの「張家大院」は客室60室以上を有するモダンな宿泊施設となり、食事以外にもスキー用品のレンタルや無料送迎などさまざまなサービスを提供している。張さんは「以前は農業で年間3萬~4萬元(1元=約21円)しか稼げなかったが、今は數十萬元の収入を得られる」としみじみと語った。
11日、スキーを楽しんだ後、南溝村の農村の雰囲気が楽しめるレストランで食事をする観光客。(長春=新華社記者/司暁帥)
2千人以上いる村民は、スキーインストラクターや民宿経営、ゴンドラ管理などの仕事に、次點と従事するようになった。村內の民宿の數は100軒を超え、整った氷雪観光サービスネットワークを形成。出稼ぎに行っていた若者の多くも地元に戻って起業し、村に新たな活力を與えている。
張靖(ちょう・せい)さん(39)は、若い観光客のニーズを敏感にキャッチし、農家の庭にパブや旅行寫真スタジオ、マッサージサロンを作った。より多くの人點に南郷村の魅力に觸れてほしいと、セルフメディアを通じて村の氷雪観光資源を売り込んでいる。
11日、観光客向けに鉄鍋料理を作る南溝村の宿泊施設「張家大院」の従業員。(長春=新華社記者/司暁帥)
「転換の物語」は他の地域でも見られる。新疆ウイグル自治區アルタイ地區の禾木(クム)村は牧畜業から観光業への転換を遂げ、前回の雪のシーズンは、村民の70%以上が観光業に従事し、1人當たりの年間所得は4萬元を超えた。黒竜江省漠河市の北極村では、スノーモービルやスノーチューブなどの雪上アクティビティーが楽しめる施設を開発し、多くの観光客を呼び込んでいる。
データによると、中國の氷雪観光客數は2023年に延べ3億8500萬人を超え、24年には5億人を超えると予想されている。「中國氷雪産業発展研究報告(2024)」は、25年には國內の氷雪産業の市場規模が1兆元に達すると予測している。(記者/邵美琦、司暁帥)