京津冀地域、加速する「世界クラスの都市群」建設

京津冀地域、加速する「世界クラスの都市群」建設

新華社 | 2024-10-31 13:20:48

天津市內のイオンモール。(8月29日撮影、天津=新華社配信)

  【新華社天津10月31日】中國で共同発展が進められている北京、天津、河北の2市1省からなる「京津冀(けいしんき)地域」の2023年のGDPは10兆元(1元=約21円)を超え、名目で13年のほぼ2倍となった。今年1~6月のGDPは5兆1500億元。中國北部における世界クラスの都市群の建設が加速している。

  総人口1億人を超える2市1省の共同発展戦略は10年前に正式に提出され、中國北部の重要プロジェクトとなった。15年に打ち出された「京津冀共同発展計畫綱要」は、北京を中心とする「世界クラスの都市群」を建設するとの方針を明記している。

  日本の代表的なショッピングモール、イオンモール(永旺夢楽城)は10年に天津市に出店。7年で天津中北店など4店舗を市內に設立し、中國本部も天津に置いた。同社の京津冀地域総経理の佐藤規正氏は「中國市場では購買力や品質へのニーズが高まり続けており、わが社も対中投資を継続的に増やしている」と述べ、天津は京津冀都市群の重要な支點で、市場潛在力が極めて大きいと見込む。

京津冀地域の都市間鉄道網で最初に開業した京唐(北京-唐山)都市間鉄道と京浜(北京-天津浜海新區)都市間鉄道。同地域の交通一體化を象徴するプロジェクトとなった。(2022年12月30日撮影、天津=新華社記者/孫凡越)

  世界の先進的都市群の発展にはこれまで、高密度の鉄道交通網が都市を結び付ける基礎的な役割を果たしてきた。京津冀地域でも10年を経て、京張(北京-張家口)高速鉄道、京瀋(北京-瀋陽)高速鉄道、京唐(北京-唐山)都市間鉄道、津興(天津-大興國際空港)都市間鉄道などが運営を開始。同地域の鉄道営業距離は1萬1千キロを超え、13年比で30%延びた。高速道路の営業距離も40%延びて1萬1千キロに迫っている。

  天津市交通運輸委員會の劉道剛(りゅう・どうごう)副主任によると、京津冀地域の主要都市ではすでに1時間から1時間半の交通圏がほぼ形成されている。

天津市內を流れる海河の遊覧船に乗り、巨大観覧車「天津の眼」を背景に記念撮影するネパール人観光客。(8月25日撮影、天津=新華社記者/孫凡越)

  産業面での共同発展も進んでいる。京津冀地域の2市1省はここ數年、産業協力の強化を重點事業の一つとしてきた。①水素エネルギー②バイオ醫薬③サイバーセキュリティーと産業インターネット④ハイエンド機器・設備と工作機械⑤新エネルギーとインテリジェント・コネクテッドカー⑥ロボット-の6分野で、産業チェーン、サプライチェーン、イノベーションチェーンのさまざまな要素の融合を促進。産業面での地域協力は外資企業にさらに多くのビジネスチャンスをもたらしている。

  ドイツの産業機械メーカー、フレンダーは、グループ最大のギアボックス製造となる弗蘭徳伝動係統を天津に構える。同グループのアンドレアス・エベルツ・グローバル最高経営責任者(CEO)は「中國事業ではすべてのサプライチェーンの現地化を実現した」と表明。中國では整ったサプライヤー體制を構築し、技術、人材、収益の好循環を形成、フレンダーは産業チェーンやサプライチェーンに欠かせない一環になっていると述べた。

天津國際クルーズ船母港で、中國での決済について外國人観光客に案內するスタッフ。(4月7日撮影、天津=新華社記者/孫凡越)

  京津冀地域は産業だけでなく、財政や民生などの分野でも一體化を推進し、地元の住民や外國人に利便性を提供している。北京大興國際空港の&&境検查部門の発表によると、今年の1~8月、許可された144時間以內のトランジット入境者數は昨年同期の10倍に増え、英國人や日本人など2萬人を超える外國人がビザ免除措置を受けた。

  南開大學経済・社會発展研究院の李蘭冰(り・らんひょう)副院長は、京津冀地域が形成した「伝統産業と新興産業が同時に発展し、イノベーションチェーンと産業チェーンが融合を加速する」という発展の道は中國の都市群建設にとって參考モデルになると指摘。さらに「世界クラスの都市群の形成は周辺國家や地域により大きな市場とチャンスをもたらす」との見方を示した。(記者/郭方達、劉惟真)

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