【新華社北京2月22日】中國と米國の科學者はこのほど、共同でゲノミクス研究を実施し、新たな証拠を用いて現代鳥類の起源が恐竜時代までさかのぼれることを検証した。鳥類は現在の世界で最も多様な陸生脊椎動物であり、約1萬1千種が現存する。起源や進化についてはこれまで、恐竜の絶滅以後に発生したと広く認識されており、一部では恐竜時代に起源を持つとの推測もあった。
今回の研究は、中國江蘇師範大學(江蘇省徐州市)の伍少遠(ご・しょうえん)教授の研究グループと中國科學院古脊椎動物・古人類研究所の周忠和(しゅう・ちゅうわ)院士(アカデミー會員)が、米ハーバード大學やジョージア大學などの科學者と共同で完成させた。研究の成果はこのほど、國際學術誌「米國科學アカデミー紀要」(PNAS)オンライン版で発表された。
後期白亜紀に起源を持ち、恐竜と存在していたことが分かった現生鳥類のイメージ図。(資料寫真、北京=新華社配信)
研究者は鳥類124種のゲノム配列からそれぞれ異なる遺伝子座2萬5640個のDNA配列データを抽出。各地質時代の化石記録と照らし合わせることで、現生鳥類の進化の歴史と軌跡を再現した。
現生鳥類の種の多様性を95%近くカバーする新鳥類の中から、水鳥とその近縁種を含む鳥類の全く新しい進化の係統を発見して水陸鳥類と命名。水陸鳥類は、先行研究で発見された陸鳥類と共に新鳥類の二大系統を構成する。
研究ではさらに、恐竜が絶滅した約6600萬年前よりはるか昔に當たる約8700萬年前の後期白亜紀の時點で、この二大系統が進化によって形成され、別點の道を歩み始めたことも明らかにした。ペンギンやカモメなどの現生海洋鳥類の進化や変遷が、約5500萬年前の地球溫暖化による深い影響を受けていたことも分かった。
伍氏は「従來の理論では、原生鳥類の進化の歴史が約6600萬年前の恐竜絶滅とセットにされてきたが、今回の研究では現生鳥類が後期白亜紀の時代に起源を持ち、恐竜と共存していたことが判明した。現生鳥類は大規模な絶滅が起きる中で驚異的な適応能力を見せて現代まで繁栄を続けることに成功した。今回の発見は、鳥類の進化のタイムラインに全く新しい認識をもたらした」と語った。
研究は、これまでは急速に進んだと広く認識されてきた現生鳥類の進化が、より緩やかかつ連続的な傾向を持つプロセスで、自然の選択を通じて徐點に変化してきたものであることを明らかにした。この発見は、ダーウィンの種の漸進的進化理論を裏付けるとともに、世界の気候・環境変化が生物多様性の進化に與える影響についての新たな事例を示した。(記者/溫競華、陳席元)